AliexpressでOrangePi Zeroというものを買った。 値段は送料込みで10ドルぐらい。

名前の通り、RaspberryPi ZeroやZeroWの競合にあたると思われる製品で、 RaspberryPi ZeroWと比べると、HDMIとカメラコネクが無いかわりに、 RJ45の有線LANがついてる。

PCとして利用するのを目的としたオリジナルのRaspberryPiと違い、 このフォームファクタの物は、他の機器の中に組み込んでアレコレすると思うので、 HDMIは余計だと思うので、この選択は正しいと思う。

値段的に半額な上に、 ほとんど入手不可能(2017年05月時点)なRaspberryPi Zeroと違い、 潤沢に在庫があるのが良い。

これを何に使おうかと買ってから考えた結果、 Webラジオクライアントにしてみる事にした。

電源を入れると、適当なWebラジオに接続しに行き、勝手に再生がはじまるというもの。

これを実現するなら、なるべく起動が早い方がいいだろう、という事で、 Buildrootを使って環境を構築する事にした。

1つ先に注意しておくと、OrangePiZeroの内蔵サウンドデバイスを動かす事には成功していない。 Linuxカーネルソースの変更履歴を見ると、 OrangePiZeroのSOCであるH2+のサウンドデバイスは絶賛開発中のようだ。

Buildrootの準備

buildroot自体でもOrangePiファミリーはサポートしてるんだけど、 OrangePi Zero自体はまだ入ってないみたい。

Wifiが使いたいのだが、最新リリースでは使えない。

探した所、Buildrootへのパッチを発見した。 見た所、OrangePi ZeroのWifiと有線LANポートのドライバを入れてくれるパッチらしい、 これを使う事にした。

OrangePi Zeroの準備

RaspberryPi Zeroと違って、画面がないので、シリアルデバッグをする事になる。

シリアルピンが準備されていて、 buildrootでビルドしたイメージは、 デフォルトでここにデバッグメッセージを出したりログインできるようになっている。

SDカードへの書き込み

ビルドしたbuildrootは、output/images/sdcard.imgにイメージを吐くので、 これをddでSDカードに書き込む。

今の自分の環境では28MB程度のイメージになっている。

なぜか、cpioイメージとext4のイメージの両方が入っているので、 本当はもう17MBぐらい減る気がする。

Buildrootのカスタマイズ

Webラジオに必要な変更を加える。

Wifi

ドライバはあっても、設定しないと繋らない。

まず、modprobeしてドライバを読んでやる必要がある。 overlayディレクトリが(パッチによって)../overlayに指定されているので、 こに、overlay/etc/init.d/S10modprobeという名前で、

#!/bin/sh

modprobe xradio_wlan

というファイルを置いた。

これでドライバが読めた。

WPA経由の無線LANで接続するためには、wpa_supplicantがいる。 この設定がいろいろいる。

まず、これをコンパイルしないとはじまらない、 buildrootのmake menuconfigから、wpa_supplicantをインストール設定をする。

次に、Wifi接続のパスフレーズをファイルに書いておく、これはwpa_passphraseコマンドで生成できる。 これをoverlay/etc/wpa_supplicant.confというファイル名で置いた。

最後に/etc/network/interfacesの設定が必要だ。 これは、overlayではなくパッケージのコンパイルによって生成されるので、 board/orangepi/post-build.sh経由で生成する。 次の行を足した。

echo >> ${TARGET_DIR}/etc/network/interfaces
echo >> ${TARGET_DIR}/etc/network/interfaces
echo auto wlan0 >> ${TARGET_DIR}/etc/network/interfaces
echo iface wlan0 inet dhcp >> ${TARGET_DIR}/etc/network/interfaces
echo pre-up /usr/sbin/wpa_supplicant -B w -D wext -i wlan0 -c /etc/wpa_supplicant.conf -dd >> ${TARGET_DIR}/etc/network/interfaces

サウンドデバイスの設定

内蔵サウンドが動いてくれないので、USBサウンドアダプタを使う事にした。 たまたま手元にあったので、SoundBlaster Play!を使ってみる。

Linuxカーネルの設定で、alsaサウンド、USBサウンドを有効にする。

何故かdmixに関してのエラーがでるため、alsaの設定をした。 overlay/etc/asound.confに

pcm.!default {
type plug
slave.pcm hw
}

と書いておいたら解決した。 また今度、alsaに関しては勉強したい。

なんかめっちゃうるさいので、 init.dの中で、amixer set PCM 5%とか書いてボリュームをしぼっておいている。

mpg123

なつかしのmpg123がWebラジオに対応していたので、これを使う事にした。 buildrootのパッケージあったので有効にするだけだった。

最後にinit.dに乱数で選択した局を再生するスクリプトをしこんで完成。

まとめ

以上の構成で電源を入れてから8秒ぐらいでラジオ再生がはじまる。

ubootの起動待ちで2秒待っていたり、乱数の初期化などの時間もかかっているので、 まだ改善の余地がありそう。

こう書くと簡単だが1週間以上試行錯誤した。 しかし、まあbuildrootに詳しくなったのでよしとしよう。